オオクワガタ採集の王道 樹液採集の極意
 
オオクワガタ採集の王道 樹液採集の極意
2006年 初夏
     
Dorcus くわがた村|管理人のワイルドオオクワ採集記/オオクワガタ採集の王道 樹液採集の極意1
 
オオクワガタと言うと、近年の昆虫ブームの火付け役である。昨今、幾多の外産昆虫が市場に溢れているにもかかわらず、多くの昆虫愛好家にとって未だ愛敬の念を集めて止まない存在である。オオクワガタがこれ程身近なものとなったのは、多くの愛好家や飼育用品メーカーによるブリード技術の確立とその進歩によるものだ。今や昆虫ショップやペットショップ、或はホームセンターなどでも、誰でも手軽に入手できて容易に飼育する事のできる大変身近な昆虫と言える。だが、それらはブリード繁殖された個体であり、天然のワイルド個体となると、また極めて入手困難な昆虫となってしまうのである。
ワイルド個体はその希少性から市場に流通することは殆ど稀であり、自己採集ともなると、それこそ至難の業であることはマニアならずとも周知の事実だ。しかし、かといってオオクワガタが特別に特殊な場所にだけ棲息しているというわけではない。前人未到の山奥や人を寄せつけない断崖絶壁といったところにしか棲息していないという生き物ではないのだ。むしろ人里近くのちょっとした雑木林や、都市部に程近い河川敷の木々、或は里山の人たちが長年かけて造り出した台場クヌギといった非常に身近な場所に生息している場合が多い昆虫なのだ。また、地域的に見ても日本国内の殆ど全国的に棲息エリアが確認されており、一部地域にしか棲息していないという訳でもない。それにもかかわらずワイルドオオクワガタがこれ程まで採集困難である理由は、これだけ広い分布エリアがありながら、棲息個体数が非常に少ないこと、人の気配に極めて敏感で、採集困難な箇所に隠れていることが多いこと、また彼等にとって棲息に適した木というものが限られており、それらはそれ程多くは現存していないこと、そしてオオクワガタの産卵、幼虫育成の朽木もまた他のクワガタ類に比べると限られており、やはりそれらもそれ程多くは現存していないことなどが上げられる、さらに近年は材割り採集によってそれらの棲息・発生木も破壊され、棲息できる環境がさらに狭小になってきたことが棲息個体数の減少に拍車をかけてきているのも事実だ。
だからといってオオクワ採集を諦めてしまわなくてはならないということはない、少なくなったことは事実だが、まだまだオオクワガタは確実に全国各地に棲息している。可能性の高い場所で的確な方法にて、棲息環境を破壊せずに節度を持った採集であれば、棲息状況にダメージを与えることはあまりないだろうし、オオクワガタを保全しつつオオクワガタ飼育文化を未来に残して伝えていけるのではないだろうか。
 
オオクワガタを採集する方法として、一般的に知られているものとしては、樹液採集、灯火採集、材割採集があげられる。
樹液採集は夏季に樹液を求めて現れた成虫を捕獲するといったイメージだが、実際にはオオクワガタが悠々と樹液を吸っていて、それを素手、或はネットなどでカブトムシよろしく捕獲するといったケースは滅多に無く、出て来るであろうウロの付近で息を潜めて待ち伏せし、出てきたところを捕獲したり、また、隠れていそうなウロからかき出し用具を使って捕り出すという捕り方がメインとなってくる。このため実際には夏季の活動盛期だけでなく、初春から晩秋まで採集が可能で、捕獲数こそ少なく、また捕獲も極めて難しくなるものの冬期でも採集が可能である、事実この冬1月、そして2月にも♀個体を捕獲している。
灯火採集は主に夏季の活動盛期に、棲息エリアや近隣の山中などでライトトラップと呼ばれる照射を当てた白いシートを張り、そこにオオクワガタが飛来して来るのを待機して捕獲するというものである。様々な灯火飛来昆虫が捕獲できる醍醐味があり、初心者であっても捕獲できる可能性はあるが、オオクワガタが捕獲できる確立はあまり高くはないようだ。また、採集時期は夏季を中心とした活動盛期に限られる。
材割採集は文字通り木材を割って採集するというもので、他の採集方法との大きな違いは成虫だけでなく幼虫、むしろ幼虫をメインとした採集方法であるところだ。オオクワガタは主にカワラタケ、シハイタケ、ニクウスバタケなどによって腐朽された、クヌギ、ナラ、エノキ、サクラなど広葉樹のいわゆる白腐れの枯れ木(白色腐朽木)に、盛夏から初秋にかけて産卵、孵化した幼虫は、産みつけられた腐朽木を穿孔しながら生育する。冬期を経て、翌初夏から場合によってはさらに一冬を経て蛹化、羽化して成虫となる。材割採集は主に冬期に、その育成木である腐朽木をナタやオノなどで割り砕いて、そこに育成中の幼虫や越冬中の成虫を捕獲するというものであり、お勧めできないというよりも今後は行ってはならない採集方法であるといえる。
幼虫の育成木である白色腐朽木は前述の広葉樹の比較的弱った部分に、カワラタケなどの菌が着床し分解が進んだものである。オオクワガタが産卵・育成できるようになるまで分解されるには数年を要し、オオクワガタをはじめさまざまな生物の育成環境を何世代にも渡って提供している大変貴重な資源なのである。それを破壊してしまう材割採集は、自然環境に与える影響が極めて大きい採集方法であることは容易に理解できることであり、愛好家がそれを行うという行為は、自分で自分の首を絞めることに他ならない。さらに大きな観点で見た場合、材割が自然のサイクルに多大な影響を与えてしまうことも考えなければならない。
菌による腐朽(分解)は生木の状態から徐々に進行していき、ある程度内部まで菌を蔓延させると子実体、いわゆるキノコを発生させる。その状態からやがて子実体が枯れてしまった状態程度が、オオクワガタの幼虫が育成するには適しているようだ。そのようにして菌類によって分解された腐朽木は、オオクワガタなどクワガタの幼虫や他の昆虫などの育成によってさらに分解され、その後バクテリアなどによって完全に分解され土へと還っていく。やがてそれを栄養としてさらに新たな樹木が芽吹き、育っていくのである。それが自然のサイクルであり、オオクワガタもその一因を担っているといえるのだ。材割はそのサイクルを途中で断ち切ってしまうことになり、自然環境のバランスを崩してしまう危険性が大変高い行為なのだ。自然はとてもデリケートでちょっとしたことで変化してしまうのだ。
また、煙幕などを使用した採集を耳にすることもあるが、オオクワガタが潜んで居そうなウロや樹洞などに、点火した煙幕を投入するといった手荒なもので、棲息木にかなりのダメージを与えてしまう行為である。実際、煙幕の痕で青く色が不着してしまった樹木は痛々しいものであり、それでも時間が経てばまた虫達はその洞などを利用しているのだが、決して美しいものとは言えず、余分なもの(煙幕のから)を自然環境に残してしまうことになる。酢酸エチルを使用した場合も同じことが言える。また、火災の危険性も無いとは言えず、様々な観点から見ても論外であり、採集云々というものではない。このような悪質な行為は慎んでいただきたい。また、オオクワガタ採集ではあまり使われることはないが、果実やゼリーなどを生息木などに設置してそこに集まってきたクワガタなどを捕獲する、フルーツトラップといわれる採集方法もある。主に南西諸島などでヒラタなどの採集に有効であり多用されているが、内地の山林などでも時折見かけることがある。これらに関しても仕掛けたトラップは責任を持って回収しなくてはならない。放置すれば自然環境に異物を残存してしまうことになり、さまざまな影響を与えかねない。特に南西諸島などではそれによって現地住人や所有者の方とのトラブルも発生しているようだ。くどいようだが自然環境に配慮した採集を心掛けていただきたい。これぐらいは良いだろうという人の行為が、非常に大きなダメージを与えてしまい、取り返しがつかなくなってしまったことを我々人類は何度も経験しているのだから、自然と共生するやり方を奨励していかなければならないのではないだろうか。
以上のような時代背景とオオクワガタを取り巻くさまざまな環境を考慮すると、オオクワガタの採集方法として樹液採集が最も適した、克つ合理的な方法であると考えられる。また、趣向性という面から見ても非常にアクティブでスポーティーである反面、緻密な洞察力、考察力が大切でゲーム性も高く、醍醐味に溢れた採集である。そこで今回はこれまでの採集事例を織り交ぜながら、樹液採集のセオリー、メソッド、楽しさを紹介していきたい。
 
オオクワガタの住処とは
採集にあたって、まずその住処を把握しなくてはならない。局所的ではあるものの全国的に生息しているオオクワガタとはどんなところに棲んでいるのか。まずは成虫のエサとなる樹液を出している広葉樹が繁生している場所である。山林であったり、河川敷であったりする場合が多い、そんな中でも最も適していると思われる棲息環境はやはり台場クヌギが林立している場所である。台場クヌギは樹液が出易く、成虫が身を隠せるウロや洞などが空いている場合が多い。また部分枯れや、立ち枯れを起こしている場合も多く、♀の産卵、幼虫の育成にとっても申し分のない環境なのである。現在でも比較的多くのオオクワガタが生息しており、日本有数の産地といってもよい山梨県韮崎周辺、大阪府・兵庫県に股がる能勢周辺は、古くから薪やシイタケ栽培などの木材需要のために沢山の台場クヌギが作られ、今なおそれらが数多く残る山林が広がっている。両地域とも我々は例年幾度となく訪れ、70mmオーバーを含めた数多くの個体を採集している。
Dorcus くわがた村|管理人のワイルドオオクワ採集記/オオクワガタ採集の王道 樹液採集の極意2
また、もちろん台場クヌギの存在しないところであっても多くの場所にオオクワガタは生息している。代表的な産地として、佐賀県筑後川流域や愛知県・岐阜県境を流れる木曽川流域などに見られる河川敷の雑木林など、全国的にも河川流域の広葉樹林にはオオクワガタの棲息箇所が数多く確認されている。さらにそれら以外でもオオクワガタはさまざまな場所に生息している。愛知県西部などでは民家や寺社の庭木などでも多くの採集例が確認されている。身近なところにカブトムシなどが生息している古くからの雑木林などがあれば、オオクワガタが生息しているかも知れないのだ、まさかと思う場所に生息している場合もある。新たな生息地を発見することも採集の大きな楽しみの一つであり、そこで得られたオリジナル個体でのブリードは、大変価値の高いものであり、究極のオオクワガタ飼育の醍醐味を味わうことができる。ただし、あからさまに私有地である場合、立ち入る前にその土地の所有者や管理者に許可を得てから立ち入っていただきたい、山林も含め多くの場合私有地である場合が多く、採集者はあくまで入らさせてもらっているという謙虚な気持ちで望むことが大切である、行き過ぎた行為を慎むことはもちろん、トラブルを起こすような行為は絶対してはならない。
 
樹液採集とは
先にも少し述べたが、必ずしも樹液に集まった個体を捕獲するといった捕獲方法ではない。むしろそのようなケースは大変稀である。オオクワガタは非常に警戒心が強く、ごく僅かな人の気配にも極めて敏感に反応し、ウロなどに身を隠してしまい、人前に姿を見せるようなことは殆ど無い。実例として、以前に能勢のある場所にて十数m離れた斜面にある台場クヌギの、2m程の高さに空いた洞からカナブンが何者かに追われているのが確認できた。我々は息を潜めて静かに忍び寄ったのだが、10mまでも近付かないうちにその何者かはカナブンを追うことを止めてウロの奥へ引き込んでしまったのだ。その木に登りじっと息を潜めて待機し、出てきたところを捕獲してオオクワガタであったことが判明したのだが、新ためてその機敏さ警戒心の強さを実感した。そういったことからも安易に姿が確認できる個体を捕獲するというものではないことがお解りいただけると思うが、ウロや洞などから活動に出て来るであろう個体を、待ち伏せて出てきたところを捕獲する方法と、専用のかき出し用具を使用して、潜んでいるであろうウロや洞などから人為的に取り出して捕獲する方法の、この2通りのメソッドが主体となる。
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ウロや洞などから取り出して捕獲する
比較的奥行きの浅いウロなどにオオクワガタの姿が確認できた場合や、見た目に非常に良さそうで探ってみて、そこに潜んでいる気配が高い場合などは、かき出し用具を使用してウロから出して捕獲する。ウロなどの木の隙間に入り込んだオオクワガタを取り出すことは、飼育している個体がクラフトウッドなどのウロに入ってしまった場合でも、取り出すことは容易ではないことは愛好家であれば経験していることであろう、身体とアゴと脚でがっちりと固定してしまったオオクワガタは決死の体勢で、ちょっとやそっとではビクとも動かない。まして実際の樹上にて複雑なウロに入り込んだワイルドオオクワガタを相手に、それを行おうということなのだから至難の業であることは容易に理解できることであろう。まずそのウロがどういった形状をしていて、そこにいるオオクワガタがどういう体勢でどちらを向いているのかなど状況を分析し、その個体が採集可能かどうか判断することが大切である。いくら頑張ってみたとしても、どうしても採集不可能な場合もあるため、それを見極めた上でかからなければ、無駄に時間を過ごして体力を消耗しケガなどのもとになりかねない。また、無理をしてオオクワガタにダメージを与えてしまうことも避けなければならない。どうしても捕りたいがためにウロなどを剥がしてしまったりすることは、生息環境を破壊してしまう行為なので絶対にしてはならない。あくまでもフェアに対等に勝負を挑み、無理ならば相手の勝ちで他を探したり、次回にまたチャレンジすればいいのである。それぐらいの気持ちのゆとりを持ってこそ真の愛好家と言えるのではないだろうか。
採集可能かどうか見極めるためには豊富な経験と技術が必要なところであり、最初は無駄になってしまう行為が多くなるかも知れないが、そういった経験の積み重ねが技術やノウハウとして蓄積されていくため、諦めずにフィールドに通って習得しなければなばない。さて、採集可能と判断した場合、オオクワガタをウロの奥から徐々に外へと誘導して出してくる。そのためにはオオクワガタの習性を理解した上で、どのようにすれば嫌がるのか、どうすれば前に進もうとするのか、或いは後ずさりするのか、そのためにはかき出し用具をどのように使用すれば良いか、など最良の方法でプレッシャーを与えながらのやり取りとなる。かき出し用具は様々な使い方ができ、便利で非常に有効なツールである。ウロの形状に合わせてその場で曲げて使用したり、ウロに差し込んでみて匂いでそのウロが有望かどうか判断したり、慣れてくるとそっと差し込んで探った感触でクワガタの体表面の感覚を感じ分けられるようになる。また、時には姿は見えないが居るであろうと思われる幾つかのウロの奥に複数本差し込んでおいて、そこに表れる微妙な変化(アタリ)を読み取ることで居ることを確認し、取り出しにかかるという使い方もある、まるで釣りのウキのような役割だが、確実に居るという確信を持つために非常に有効な方法であり、実際昨年も能勢にてそのようにして捕獲したケースがある。使い方無限のかき出し用具は、各自工夫して活用することも楽しみの一つであるといえる。
様々な状況に柔軟な発想で臨機応変に対処してやることにより、取り出せる、採集できる確率も高くなってくる。取り出すまでに数十分程度で捕獲できる場合もあるが、たいていの場合1時間以上の長期戦となることが多い。時には数時間に及ぶ場合もしばしばあり、また、木に登った不安定な状態で行う場合も多いので、できる限りしっかりとした安全な体勢を長時間に渡って維持できるような状況で行うように心掛けたい。
また、この採集方法では非常に幅広いシーズンに渡って、成虫個体を採集することが可能である。オオクワガタの生態は、まだまだはっきりとしていない部分が多く感じられ、冬期は木の中などに潜り込んで越冬体勢に入り、冬眠するとされるのが定説であったが、ではいつ頃からいつ頃まで、何処でどのように越冬しているかというとあまり明確にはされていないのではないだろうか。我々の採集経験からしても、特別な越冬場所で特定の期間越冬しているということには、甚だ疑問を感じることが多い。事実、昨年3月には、能勢にて活動中の♀個体を捕獲しており、11月には台場クヌギの非常に高い位置の枝別れの隙間で、蹲っているペアを捕獲している。さらに今年1月には福岡県の背振山中で、クヌギの木の根元に近い部分に溜まったオガの中から凍てついた♀個体を捕獲。2月には能勢にて極浅いウロの中からやはり♀個体をかき出し捕獲している。そして3月には活動中の♂個体を2頭を、やはり能勢にて捕獲したのだ。確実に言い切ることはできないかも知れないが、これらの事例からみる限り特別に越冬場所で越冬体勢に入るわけでなく、活動していて低温のために動けなくなり、そのまま越冬というパターンが少なく無いのではないだろうか、したがって冬期であっても気温の高い日には活動して、比較的身近なウロなどでジッと潜んでいる場合があると考えられる。そのためこの採集方法での樹液採集が非常に有効となるのである。
     
ウロや洞などから出てくるのを待って捕獲する
奥行きのあるウロや深く複雑な洞などにオオクワガタが潜んでいる場合、かき出し用具などを使用しても
到底届かず、こちらから取り出しにかかるということは不可能である。その場合、捕獲可能なところまで相手が出て来てくれるのを待って捕獲するしかない。かき出して捕獲する場合よりもさらに長期戦になる事が多く、よりそこに潜んでいるという強い確信が必要になってくる。姿を確認できていれば自ずと気合いも入り長時間に及ぶ待機にも耐えられるが、そうでない場合は、状況や経験などから判断して「必ず居る!」という信念が持てる場所で自信をもって挑むことが大変重要である。昨年、能勢のある場所にて73mmの♂を捕獲した事例を紹介しよう。
それは3月に訪れた下見から始まった、その際に「ここには必ず大型が居る!」と確信できる台場クヌギを発見したのだ、その後、春の訪れを待ってその場所に通い、2回目に訪れた時であった。覗いたウロに後ずさりして奥に消えていく大きな長歯型の黒い影を目撃してしまったのだ。その光景が目に焼き付き片時も忘れることができなくなってしまった。その姿を追い求めさらにその場所に足しげく通い、4〜5時間づつひたすら樹上で待ち続けるチャレンジを続けたが、それ以来、ヤツは姿を現すことはなかった。それでも諦められずに通い続けた。そして6月、寒冷前線が通過した直後のある晩、いつものように木に登って待つこと数時間、雨上がりでジメッと湿度の高い台場の幹に、ついにヤツは姿を表わし捕獲できたのである。
この事例からもお判りいただけると思うが、時には数日、或いはシーズンを賭けて挑まなければならないような、非常に困難なケースに遭遇することもある。しかし、信念を持って諦めずに挑み続ければ、生息環境にダメージを与えることなく良型のオオクワガタを採集することが可能なのである。
この採集方法はとにかく待つ、待ち続ける採集である。そのため、その待ち方、待機の仕方が非常に重要になってくる。期待できそうな確信の持てる木に狙いを定めたら、一通り周辺の状況などを確認し待機の体勢をとる。待機の仕方は、そこに潜んでいるオオクワガタが活動のために出てくるであろうコースと場所を想定し、そこを確認できる位置に自分が居られるようにする。たいていの場合樹上であることが多く、木に登っての待機となるため長時間制止して居られる体勢であることが重要である。また、出て来た時に静かに手を伸ばして捕獲可能であることももちろんである。さまざまな条件があるが、それらをクリアーしなければたとえ出て来たとしても、手が出せなかったり、気付かれて取り逃がしてしまうことになりかねないのだ。そのようにした上であとはジッと息を潜めて、人の気配を消して木々や周りの自然と一体となってオオクワガタが出てくるのをひたすら待ち続けるのである。長時間待って、やがて周囲を警戒しながらオオクワガタが姿をあらわした時は、例えようもない感激と喜びであるが、決して焦らず、確実に捕獲可能な状況になってから静かにそっとしっかりと捕獲する。その感動は何ものにも変え難く、まさに至福の瞬間であり、これこそ究極のオオクワガタ採集であると言える。この採集方法は活発な活動期に限られるため、夏期の最盛期が適している
 
Dorcus くわがた村|管理人のワイルドオオクワ採集記/オオクワガタ採集の王道 樹液採集の極意4 オオクワガタ樹液採集の場所や捕り方などを述べてきたが、採集場所にもよるが、特に能勢などではかなりの距離を走破することも多く、また、木に登ったり、樹上で長時間過ごしたりすることはかなりの体力、筋力を要することも多い、そのため体力づくりや筋力づくりを日々心掛けることもお勧めする。あとは実際にフィールドに出向いて実践していただきたい。
 
難しいことばかり紹介してしまい、オオクワガタを採集することは至上の困難さであるかのように思われてしまったかも知れないが、あまり難しく考えないで楽しく望んでほしい、実際には稀にではあるが木の幹を這っているオオクワガタに遭遇することもあり、特別な技術など必要とせず、いとも簡単に採集できてしまったことも何度もあるのだ。しかしそれらは必ずと言っていい程、先入観や常識などに捕われない積極的な行動がもたらすものなのである。大切なことはとにかく積極的に行動し、さまざまな状況に興味を持って、たとえ僅かであってもそこに可能性があるならば、諦めずにとことん探してみることである。さまざまなフィールドにて持てる限りの五感を働かせ、その日の状況の中から有望なエリアを割り出し、そこから潜んでいる木を絞り込んで、時に冷静に、時にアクティブに、自分の持てる業の総てを一匹のオオクワガタに注ぎ込む。例え捕れなかったとしても、捕れることを信じてチャレンジしていただきたい。そうして得られたワイルドオオクワガタは最高のオオクワガタであるのだ。
 
 完